【連載】ウクレレ恋愛小説「あのときの音色」第三話

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帰り道、隼人くんに「今日はありがとう」ってメッセージ送った。でもすぐには既読にならなかったので、画面を閉じてコートのポケットにスマホをしまった。

スマホにささったままのイヤホンからは、さっき隼人くんに教えてもらったウクレレのプレイリストからランダムに曲が流れて来る。

少し速いビートの曲を聴いているからなのか、それともラウンジでのことを思い出したからなのか、また胸がドキドキしてきた。

家に帰って晩ご飯を食べ終わってもそのドキドキはおさまらず、親と一緒にいるのもなんだか気まずかったので、すぐに自分の部屋に戻ってきてしまった。

スマホを開くと、隼人くんから返信が届いていた。

「こちらこそ今日はありがとう。俺もウクレレ一緒に弾けて楽しかったよー!」

メッセージの後には、ウクレレを抱えたキャラクターのスタンプもついていた。

そのままやりとりを続けている中でウクレレ・プレイリストを聴いたことを伝えたら、「そういえば次の土曜の夜って空いてる?」って聞かれた。

「ウクレレ弾いてる先輩のライブがあるんだけど、柚ちゃんよかったら一緒にどうかなって思って。」

ウクレレのライブは見たことないけど、隼人くんに教えてもらったプレイリストの曲は好きだから面白そうだなって思って「行きたいな」ってすぐに返事をした。「杏奈達も誘った方がいいのかな」って聞いてみたら、「こないだ鍋パでウクレレ弾いたの柚ちゃんと俺の秘密だからさ、2人で行こ(笑)」って言われた。


次の土曜日。

渋谷駅で待ち合わせをして、ライブハウスまで一緒に向かった。ライブだから荷物を少なめにしてきたけど、隼人くんはいつものウクレレのケースを背負っていた。

会場には、私達と同じ大学生くらいの人からちょっと上の世代の人まで、色々な人がいた。ドームとかアリーナでやるライブなら行ったことがあるけど、ライブハウスにはあまり来たことがなかったので、みんながワンドリンク片手にライブの開始を待ってるその雰囲気に、ちょっぴり緊張した。

でもライブがはじまったら、そんな緊張はあっという間にどこかに飛んでいってしまった。

隼人くんの先輩がやってるバンドは、すっごくかっこよかった。

青い光で照らされたステージの上で、なんだか難しそうな機械につながれたウクレレが色んな音に変化していく。そしてギターとかドラムとかと一緒になって、これまでのウクレレのイメージが全く変わっちゃうような、そんな世界ができていた。

ライブのはじまりから終わりまで、一言では言い表せないくらいワクワクして、そしてドキドキした。

途中で隣りにいる隼人くんの方をちらっと見たら、同じようにワクワクしている様子だったけど、ステージの上の先輩をまっすぐに見つめる横顔は、いつもとはまた違った雰囲気だった。

 

ライブが終わって外に出ると、熱気のこもったライブハウスとは真逆ですっごく寒かった。思わず、「寒いね。。。」って口に出てしまった。

「ほんとに寒いね。あ、でも柚ちゃん。俺いいもの持ってるよ!」

隼人くんは、コートのポケットから使い捨てカイロをとりだした。

「柚ちゃんこれ使って!」

「え、でもそしたら隼人くんが寒いよ。」

「俺はいいよ!」

「だめだよ。悪いよー。」

2人で譲り合いをしていたら、隼人くんは一瞬止まった後、自分のコートのポケットに使い捨てカイロを戻した。

「じゃあさ、こうしたらどっちもあったかいよ。」

そう言うと隼人くんは、私の手を握って自分のコートのポケットに入れた。

そして私たちはそのまま、ポケットの中で手をつないだ。

ドキドキが、”好き”に変わった瞬間だった。

第3話 おまけ – ウクレレ男子とライブ・デート
恋愛のはじまりには「吊り橋効果」を使用すると良いという説がある。心理学の実験で実証されている「吊り橋の上のような不安や恐怖を強く感じる場所で出会った人に対し、恋愛感情を抱きやすくなる現象」のことであり、吊り橋効果を生み出すのに役立つデートの例として、遊園地のジェットコースターやお化け屋敷が挙げられことも多い。

参考: https://www.weddingpark.net/magazine/846/

ライブ・デートでも、ライブハウスの独特な雰囲気で感じるちょっとした緊張に加え、パフォーマンスにワクワクして心拍数が上がることで、吊り橋効果が生まれる可能性がある。気になる人をウクレレのライブに誘ってみてはいかがでしょうか。

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レレ美

都内在住のウクレレ女子。
日常生活のキュンっとする瞬間を切り取ったストーリーを描く。

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