【連載】ウクレレ恋愛小説「あのときの音色」第二話

第一話を読む


5限後に先生に質問をしていたら、あたりはすっかり暗くなってしまった。

家に帰る時間をお母さんに連絡しようと思ってスマホのホームボタンを押すと、授業前に見ていたウクレレ・ハワイアンソングのプレイリストが表示された。

杏奈の家で鍋パーティーをしたあの日から、ウクレレの曲を色々聴いてみている。隼人くんが演奏してくれたSomewhere over the Rainbowを聴きたいなって思ってハワイアンソングを検索してみたけれど、隼人くんが弾いてくれたのとはまた違う感じの演奏だった。

駅に向かうために6号館の2階にある建物のエントランスに向かうと、横にあるラウンジの方からウクレレの音が聞こえてきた気がした。

そんなわけはないだろうなと思いつつも、ちょっぴり期待してラウンジを覗いてみたら、奥の方にウクレレを持った男の子がいた。

隼人くんみたいな雰囲気だけど、後ろを向いているから確信を持てない。声をかけてみて違ったらどうしようって思って一人で悩んでいたら、その思いが届いたかのように、男の子がふと私の方を向いた。

「あれ!?柚ちゃん?!!!」

やっぱり隼人くんだった。

ウクレレを弾く手を止め、こっちに手を振ってくれた隼人くんの方に私は近づいていった。

「柚ちゃん、偶然だね〜」

「うん、ほんとに。帰ろうと思ったらね、ラウンジからウクレレ聞こえた気がして。そしたら隼人くんいたからびっくりしちゃった。」

「お!さすが柚ちゃん!ウクレレの音よく分かったね。」

「偶然だよ〜。隼人くん、よくこの場所でウクレレ弾いてるの?」

「ううん。今日はたまたま。いつものところが混んでてさ。」

「そうなんだ。」

「ここに来て正解だったかも。柚ちゃんにも会えたしね。今ね、この曲練習しているんだ。」

この間と同じ優しい笑顔で、隼人くんはまたウクレレを弾いてくれた。

今度は知らない曲だったけど、心地の良いメロディーで、曲のスピードに合わせて器用に動く隼人くんの指先から目が離せなかった。

 

演奏を終えた隼人くんは、「柚ちゃんも弾いてみる?」っと言ってウクレレを渡してくれた。

初めて持ったウクレレは、想像していたよりも軽かった。そしてなんだか繊細な感じで、変なところを持って壊したりしないかちょっぴり緊張した。

「左手は、ネックの上の方を親指と人差し指の間ではさむように持ってね。右手は、そうそう。そのあたりに軽く置く感じで。」

隼人くんは、ウクレレの持ち方と構造を楽しそうに教えてくれた。教えてもらったとおりにおそるおそる弾いてみると、ポロロンっと固い音が出た。

全然思ったような音じゃなかったけれど、隼人くんは「いいじゃん。柚ちゃんもウクレレ女子になっちゃうかな。」って、ちょっと大げさにほめてくれた。そして、私が弾けそうな曲をスマホで探してくれた。

「I’m Yours 知ってる?コードが4つだけだからいけるかも。あ、コードってね、ピアノの和音みたいなやつね。」

「うん。I’m Yours知ってるよ。難しそうだけど・・・。」

「難しいかなぁ。とりあえずやってみる?(笑)はじめはCっていうコードで、薬指でここ押さえてみて。そうそう。次にGだから、ここと、ここと、ここだよ。あ、おしい。中指はこっち。」

指が全然動かなくて、コードを押さえるのはなかなか大変だった。どこを押さえたらいいのか分からなくて左手が迷子になっていたら、隼人くんが私の指を持って動かしてくれた。

教えてくれるためって分かっているけれど、さっき演奏している指先を見ていたからか、手が触れていることを意識してしまってなんだかドキドキした。

そして、余計にうまく押さえられなくなった。

「うーん、やっぱりすぐには難しいか・・・。あ、いいこと考えた!」

隼人くんは今度は私の左側に来て、ウクレレを2人の真ん中に置いた。

「柚ちゃんは右手でストロークして。俺が左手でコードを押さえるね。じゃんじゃんじゃんってリズムで鳴らしてみて。」

言われたとおりに右手を動かすと、隼人くんが左手でコードを上手く押さえてくれているおかげで、それっぽい演奏に聞こえてきた。

隼人くんも「柚ちゃんすごいよ。演奏になってるね。」って言ってくれた。そして、楽しそうにメロディーを口ずさみはじめた。

隼人くんのおかげで、なんだかウクレレが弾けているような気分になってちょっぴり嬉しかった。でも、一緒に弾いている分、隼人くんとの距離がすごく近くて、私はまたドキドキしてしまった。

ドキドキしすぎて、途中からはウクレレの音が耳に入ってこなかった。

第2話 おまけ – ウクレレ男子の指先

手先の器用さは、バンドマン、美容師、バーテンダーがモテる要素の1つにも挙げられている。
参考: http://howcollect.jp/article/4139

ウクレレ男子もこれに当てはまる。小さくて繊細そうな楽器を器用に扱ってメロディーを奏でるウクレレ男子の指先に、ドキドキさせられる女性も少なくないのではないだろうか。ちなみにソロ・ウクレレを混ぜると、効果倍増※である (※筆者個人の見解です)。

The following two tabs change content below.

レレ美

都内在住のウクレレ女子。
日常生活のキュンっとする瞬間を切り取ったストーリーを描く。

ウクレレを広めるために記事拡散!

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です