【連載】ウクレレ恋愛小説「あのときの音色」第一話

あなたの周りに「ウクレレ男子」はいますか?

これは、私(柚、大学4年生)が「ウクレレ男子」に出会ったときの話です。


去年の11月。

「寒くなってきたから鍋しようよ」って杏奈の提案に芽衣ちゃんが飛びつき、授業後に杏奈の家で鍋パーティーをすることになった。

杏奈と芽衣ちゃんは、大学1年生の時に受講していたフランス語の授業でできた友達。授業前に宿題の答え合わせをしていたら、気づいたらいつも一緒にいるくらい仲良くなった。

2人はとても社交的で、他学部にも友達が多い。この日も杏奈は「せっかくの鍋だから人数多い方が楽しいよ」と、夏休みの短期留学プログラムで知り合った人達に声をかけていた。

やって来たのは、経済学部の慶くんと、その友達の翔太くん。

慶くんは杏奈が好きそうなタイプの男の子で、背が高くて、誰が見てもカッコイイって思うようなイケメン。「雑誌にも載ったことがあるんだよ」って杏奈が耳打ちしてくれた。
一方の翔太くんも、細マッチョでスポーツが得意そうな印象。鍋の買い出しをしているときに杏奈が聞いたら、イメージ通りテニスコーチのアルバイトをしているって言っていた。

あともう一人、隼人くんっていう男の子も来るけど、少し遅れそうだということで、私達は先に始めることにした。

鍋を始めて15分くらいたった頃、インターホンが鳴った。

「お。隼人、やっと来たかー。」

「ごめんねー!ちょっとサークルの人に捕まっちゃって・・・。」

謝りながら部屋に入ってきた隼人くんは、手に持っていた楽器のケースを壁際に置いて、空いていた私の隣に座った。

ふんわりとした黒髪で、びっくりするほど真っ黒に日焼けしていた。

早速杏奈が、芽衣ちゃんと私のことを隼人くんに紹介してくれた。

「隼人くん、こっちが私と同じ学部の友達で、芽衣と柚ね。」

「はじめまして。隼人です!もう聞いてるかもしれないけど、慶と翔太と同じ学部の同じゼミです!」

「はじめましてー。結衣です。」

「柚です。」

名前を伝えたとき、一瞬隼人くんと目が合った気がした。でも続けて何を言ったら良いのか分からなくて困っていたら、杏奈が話を続けてくれた。

「そういえば隼人くん、ウクレレ男子なんだよね?!」

「おー!杏奈ちゃんよく知ってるね!音楽系のサークルでウクレレ弾いてるよ。時々ライブもするけど、普段は家とか公園とかで1人で弾いてます(笑)」

「公園でも弾くんだ!ハワイアンな曲を弾くの?」

「公園でも弾くよ!そろそろ寒いんだけどね(笑) 曲はね、ハワイアンの曲も弾くし、普通に洋楽やJ-Pop、アニメの曲とかも弾くよ。」

「へー!ウクレレって色々弾けるんだね!演奏聴いてみたい!」

「じゃあ今、、、と言いたいところだけど、今日は諸事情でケースの中身が空っぽなので(笑) また今度ね!」

「え。ケースの中身、空っぽなの(笑)」

「うける(笑) 隼人何やってんだよー」

「まあちょっと色々あってさー!」

隼人くんが登場してから、場の雰囲気はそれまでよりも明るくなったような気がした。

真っ黒な日焼けは、週末にサイパンにウクレレ合宿に行っていたからで、サイパンでダイビングをしたことがある杏奈と、サイパンの海やダイビングの話で盛り上がっていた。

旅行好きの芽衣ちゃんも、隼人くんが教えてくれた”ウクレレバックパッカー”とかいう人の話に興味津々で、SNSに上がっている動画を見ながら楽しそうに話していた。

一方で私は、初めて会う人がいる中で緊張が抜けきれず、みんなの話に相づちをうちながら時々受け答えをするので精一杯だった。


そうこうしているうちに、22時半くらいになった。

家が遠い芽衣ちゃんが帰る時間だったので、杏奈と慶くんが芽衣ちゃんを駅まで送りに行った。

玄関で芽衣ちゃん達を見送った後、再びコタツに入った翔太くんは「もうお腹いっぱい!」って言って横になったと思ったら、スースーと寝息を立て始めた。

そんな翔太くんを横目に、隼人くんは「なんだか急に静かになっちゃったね」とつぶやきながら、壁際に置いていたウクレレのケースに手を伸ばした。

「ねえねえ、柚ちゃん。ウクレレの音を生で聴いたことある?」

「え、あ、うん。家族で行ったハワイで聴いたことあるよ。」

「ハワイかー!いいねえ。」

「うん。ウクレレって、なんだか優しい音色の楽器だなって思ったよ」

「おお。嬉しいな。ウクレレの音ってさ、優しくて、とっても癒されるんだよね。」

隼人くんは、目にかかりそうな前髪を一度手でおさえた後、ケースを開けてウクレレを取り出した。

「あれ?!隼人くん、今日ウクレレ持ってないって言ってなかったっけ…?」

「うん。いきなり弾くの恥ずかしかったからさ。でもやっぱり、弾きたくなっちゃった。」

ウクレレを抱えて私の方を向いた隼人くんは、「内緒ね」と言ってにっこり笑った。

そして、とっても優しい音色でSomewhere over the Rainbowを弾いてくれた。

第1話おまけ – 「ウクレレ男子」が好印象をもたれる3つの理由

①めずらしさ
ウクレレという楽器は若い世代にはまだまだマイナーである。そのため自己紹介で「珍しい楽器を弾く人」という強い印象を与えることができ、それより女の子の関心を一気に惹きつけることができる。

②女子ウケする話題への展開
ウクレレを弾く話から入り、ハワイの話や旅行の話、ウクレレで弾ける曲の話、そしてそこからあの世界的に有名なアニメーションの話や夢の国の話まで、女子ウケしそうな話題につなげていくことができる。

③優しそうなイメージを与える
おそらく多くの人にとってウクレレの印象は、ポロンと優しい音色の小さめの楽器。そのイメージにより、ウクレレ男子は「優しそうな男性」という好印象を与えることができる。

※ この小説はフィクションです。

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レレ美

都内在住のウクレレ女子。
日常生活のキュンっとする瞬間を切り取ったストーリーを描く。

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1 個のコメント

  • ウクレレ男子の本家は、牧伸二です。家元争いは起こりませんでしたが、高木ブーが現れ、ウクレレは、コメディアンのアイテムとして定着しました。かつては、ムード歌謡のマヒナスターズで、ウクレレは活躍していましたが、吉本系伴奏楽器tpしての致命度が優先されていました。致命度です。

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